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Episode2 エンキクラドュスとポルティナ
エンキクラドュスは、人々に醜い化け物の姿を見られたくないという思いから、深い海の闇の底に身を隠しました。 しかしある日、海の精霊達からある便りが伝えられました。 恋人ポルティナがエンキクラドュスを探して深海への入り口である海に飛び込もうと、海辺の断崖の上に立っているというのです。 エンキクラドュスはポルティナを止めるため、自分が化け物の姿であることを忘れて駆けつけました。エンキクラドュスが断崖に姿を現したとき、ポルティナはその化け物がエンキクラドュスだとは気付きませんでした。 突然現れた化け物の姿に後ずさりし、恐ろしさと嫌悪感でいっぱいになった彼女の表情に、エンキクラドュスは絶望しました。 彼女はすぐにその化け物がエンキクラドュスだという事実に気付きましたが、 それはエンキクラドュスの絶望に満ちた叫びにかき消されました。

「僕を眺めているあなたの反応を見るのが、僕にとってどれだけ残酷なことだか分かるかい?
君はこの醜く変わり果てた姿をその目で見たくてここへ来たのか?
それとも君はこんな化け物も愛することができるとでも言うのかい?」

「私は化け物を愛することはできないわ。
けれどあなたが愛するエンキクラドュスなら、わたしにとっては化け物なんかじゃないわ。
たとえあなたの姿が変わってしまっても、私の気持ちは変わらない…。
それとも、あなたは気持ちまで変わってしまったの?」

それが、エンキクラドュスとポルティナが交わした最後の言葉になってしまいました。
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by varietypack | 2013-12-21 00:49